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TIPS 07
バトルカバレージ② VS三銃士
今回は、城之崎有紗の操るパペット型アグロとヴィオラが繰り出す三銃士デッキの対決だ。
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小型のデジモンたちによる連続攻撃とDPマイナスを得意とするパペットたちが、速度で押しつぶすのか。
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あるいはオプションによる除去と高レベルのデジモンたちで盤面を制圧する三銃士が、硝煙の荒野を作り出すのか。
ある種対照的なデッキたちの対戦の様子を振り返ってみよう。
まず、これが有紗の初期の手札だ。

次にこれがヴィオラの手札である。
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まずは有紗の1 ターン目。
育成エリアのキャロモンをジャンクモン、トブキャットモンへと進化させ、メモリー2でターンを渡す。1ターン目らしい静かなスタートだ。
続いてヴィオラの1ターン目。メモリーは2でスタート。
ヴィオラはカプリモンを孵化させ、トイアグモンに進化。その後、手札からBT6のリボルモンを5 コストで登場させる。
【登場時】にデッキトップを4枚オープン。捲れたカードは、トイアグモン、メガドラモン、マグナキッドモン、そしてハリケーンビスショット。

ジャックポットな引きだ。ヴィオラは三銃士デジモンを手札に加えながら、トラッシュにオプションカードを落とすことに成功する。
そうしてメモリー3で始まった有紗のターン。
育成エリアから飛び出したトブキャットモンがセキュリティへバトルを仕掛ける。
セキュリティバトルはメガドラモン。DPは負けているが、≪ジャミング≫を持っているトブキャットモンには関係ない。
有紗はその勢いのまま、トブキャットモンをパンダモン、しんもんざえモンへと進化。
トラッシュが0枚のため、【進化時】の≪リカバリー≫効果こそ発揮しないが、≪アーマー解除≫と≪防壁≫をもったデジモンの育成に成功する。
これならマグナキッドモンもハリケーンビスショットも怖くはない。
有紗2ターン目終了時バトルエリア
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——はずだった。生憎だが三銃士の弾丸は一種類ではない。
メモリーは4。ヴィオラが動く。
育成エリアから出てきたトイアグモンをタンクモンへ進化。
【進化時】の効果で手札を3枚デッキトップに置くことで、しんもんざえモンを【退化】させる。これで最も厄介な【アーマー解除】が消えた。
ヴィオラはリボルモンを6コストでマグナキッドモンへ進化。三銃士の一角、真紅のトリガーハッピーの登場だ。
マグナキッドモンの【進化時】効果で手札からケイオストライアングラーをノーコストで使用し、パンダモンを消滅。その後、3枚まで減った手札が6枚になるまでリロードされる。
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黒の退化と赤の除去によるデジモンの処理。異なる色の凶弾が容赦なく有紗へと叩きつけられた。
パンダモンの【消滅時】効果により、有紗はパペット型レベル3であるシューモンを手札から登場させ、これでターンが有紗へ…返らない。
アウトローであるマグナキッドモンはただではターンを返さない。
先ほどマグナキッドモンの進化元に装填されたケイオストライアングラーを破棄することで、【ターン終了時】に≪Sアタック+1≫を得たマグナキッドモンがセキュリティへアタックを仕掛ける。
セキュリティが2枚割られ、これでようやくヴィオラのターンが終了した。
ターンが終わってみれば、有紗の場のレベル6はいなくなり、セキュリティは二枚割られている。
オプションをノーコストで使うことができる除去性能の高さこそ三銃士の恐ろしさだ。
ヴィオラ2ターン目終了時バトルエリア

有紗の3ターン目。メモリーは4でスタート。
有紗は育成エリアでキャロモンを孵化。
バトルエリアに先ほど登場したシューモンを1コストでシューシューモンに進化させると、【進化時】効果によりテイマーカード城之崎有紗をノーコストで登場させる。効果で登場したパペット型やトークンに≪速攻≫を付与できる優秀なテイマーカードだ。
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その後、育成エリアのキャロモンをシューモンに進化。バトルエリアのシューシューモンをシャペロモンに進化させ、進化時効果でポーンチェスモンを登場。
テイマーカード城之崎有紗の効果で、ポーンチェスモンに≪速攻≫が付与され、アタッカーが追加された。
1体のレベル3からターンがスタートしたはずの有紗の盤面は、メモリーを4使っただけでテイマーカードが1枚、アタックできるデジモンが2体並んでいる。
この展開の速さがパペット型の強みだ。その勢いで有紗はヴィオラのセキュリティへアタックを仕掛ける。
まずはシャペロモンがヴィオラのセキュリティを割る。捲れたのはリボルモン。無事セキュリティ突破。
続いてポーンチェスモン。
ここでセキュリティから見えたのは、オプションカード、デルブリッツ。【セキュリティ】効果によってポーンチェスモンが消滅してしまう。もしもアタックする順番が逆だったなら、有紗の場には何も残らなかったことだろう。
セキュリティのオプション一枚で一気に有利不利のバランスが傾く。この不確定要素こそがデジモンカードの怖いところであり、面白いところだろう。
これでヴィオラのセキュリティは残り2枚に。最後に【消滅時】を持ったパンダモンを登場させ、ヴィオラにメモリーを6渡して、有紗はターンを返す。
中途半端にコストを渡してレベル3を出すよりも、三銃士相手に【消滅時】を持った≪ブロッカー≫であるパンダモンを出すことで、シャペロモンを守るという判断自体は間違ってはいない。
有紗3ターン目終了時バトルエリア
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ただし、マグナキッドモンにより手札のリロードが完了した三銃士相手は話が別だ。
そしてヴァイオレット・インブーツは、その隙を見逃すプレイヤーではない。
そんなヴィオラの3ターン目。メモリーは6でスタート。
まず育成エリアをレベル3に進化させると、バトルエリアのタンクモンをメガドラモン、ガンドラモンへと一気に進化。メガドラモン【進化時】にハリケーンビスショットを進化元に装填したため、三銃士を守る効果まで使用できる状態だ。
これでヴィオラの盤面に三銃士が二体並んだ。
ガンドラモンの【進化時】効果でデッキトップ6枚から出てきたデルブリッツをノーコストで使用し、パンダモンを吹き飛ばす。使用したデルブリッツはマグナキッドモンへ装填。
先のターンと同様のアウトローアタックを構える。
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デルブリッツで消滅したパンダモンからポーンチェスモンが飛び出すが、その体色は白。黒色のものと異なり、≪ブロッカー≫は持っていない。
ガンドラモンの一撃がシャペロモンを撃ち抜く。しかもこの弾丸は≪貫通≫持ちだ。有紗のセキュリティが一枚はじけ飛んだ。
ヴィオラはその後、メモリーを7払ってギガドラモンを登場。【登場時】の効果でポーンチェスモンが吹き飛び、有紗のバトルエリアのデジモンが0体に。
そのまま【ターン終了時】に先ほど装填した弾丸を使い、マグナキッドモンが≪Sアタック+1≫を得てセキュリティアタックを仕掛ける。
ヴィオラ3ターン目終了時バトルエリア
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さて、ここで一度複雑になったこの戦場を整理してみよう。
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ヴィオラのセキュリティは残り2枚。盤面にはレベル5以上のデジモンが3体、育成エリアにはトイアグモンが1体。
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一方で有紗のセキュリティはまもなく割られる2枚。デジモンも育成エリアのシューモンのみ。速攻を付与できるテイマーカードが1枚。
メモリーを7貰ってはいるが、有紗は自身のターンに≪再起動≫で起き上がる大型ブロッカーであるガンドラモンとセキュリティを2枚破壊した上で勝利をつかみ取らなければならない。
絶望的な状況だが、有紗の眼はまだ死んでいない。
さて、ここで戦闘へ戻ろう。
マグナキッドモンのアタックで有紗のセキュリティから捲れたのは、ポーンチェスモンと……ワンダーストンプ!
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【セキュリティ】効果により、≪1ドロー≫の後、手札からジャンクモンが登場する。
そして始まった有紗のラストターン。メモリーは7。
育成エリアから出てきたシューモンがシューシューモンを経てシャペロモンへと進化。先のシャペロモンが横に援軍を出したのとは違い、こちらはDPマイナスを与えることができる。その【進化時】効果により、ギガドラモンのDPが1000まで減少する。
その後、ジャンクモンがセキュリティへアタック。
そのアタックに対し、ヴィオラはギガドラモンをベルスターモンACEへ≪ブラスト進化≫。オプションカード、ハリケーンビスショットがジャンクモンとシャペロモンへと襲い掛かる。

勝ちを確信したヴィオラだったが、ここで一つ致命的な見落としをしてしまう。
ジャンクモンの持つ≪デコイ(パペット型)≫だ。自身が消滅の範囲に含まれていても身代わりとなれるこの能力で、シャペロモンは消滅を免れる。
シャペロモンが消滅しないのであれば、まだ戦える。進化だ。
美しくも狂暴なプリンセス。サンドリモンが硝煙と薬莢のダンスホールへ降り立った。
ここからは彼女のステージだ。
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【進化時】の効果で使い魔が登場。そしてメモリーがヴィオラの1に渡ったため、ターン終了時にサンドリモンの能力が発揮する。
それが≪オーバークロック≫。
自身のパペット型かトークンを消滅させることで発揮するこの能力により、デジタルワールドのシンデレラは0時を過ぎても暴れまわる。
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使い魔トークンが消滅し、ガンドラモンのDPを3000マイナス。サンドリモンのDPを下回った。またサンドリモンの【アタック時】にDPマイナス6000を先程DPの下がったギガドラモンから進化したベルスターモンACEに叩きつける。
効果ではなく、ルールによる消滅。
DPマイナスによる消滅はガンドラモンでも防ぐことはできない。オーバーフローによりメモリーが有紗側の3に。これによって有紗とサンドリモンのターンが継続する。
ヴィオラはそのアタックをガンドラモンでブロック。バトルには負けるが、自身の進化元にあるハリケーンビスショットを破棄することで消滅を回避する。ハリケーンビスショットの能力により有紗のメモリーが2に。

だが、まだサンドリモンは、城之崎有紗はとまらない。
≪オーバークロック≫によるアタックはレストを必要としない!
手札からメモリーを2支払ってワンダーストンプ。ポーンチェスモンが登場。テイマーカードによって、≪速攻≫を得てヴィオラのセキュリティを襲撃する。
もしかしたらオプションカードによって、有紗のターンが終わってしまうかもしれない。だが泣いても笑ってもこれが有紗のラストターンだ。
攻めの手を緩める理由は一切ない。
出てきたのはマグナキッドモン。ポーンチェスモンは消滅。
ヴィオラのセキュリティ、残り1枚。
そのままサンドリモンがセキュリティに通常アタック。【アタック時】のDP-6000はマグナキッドモンへ。
セキュリティチェックの結果は……ギガドラモン! サンドリモンはまだ戦場にいる!
その後ジャンクモンを登場させ、メモリーはヴィオラ側の3に。
ヴィオラのセキュリティは0枚。サンドリモンは止まらない……!!
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≪オーバークロック≫
絶対無敵のシンデレラに【ターンに一回】などという無粋な一文はついていない。
こうして有紗とヴィオラのバトルは決着した。
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こうして振り返ってみれば、お互いに手札、セキュリティを十二分に活かした、デジモンカードゲームらしい素晴らしいバトルだったといえるだろう。