TIPS 13
ラクーナについて④ 塵街魔境オブシディアンデザート
「デジモンリベレイター」は、ラクーナという仮想空間を舞台にしたフルダイブVRゲームだ。
ラクーナは現実世界のマッピングデータが複雑に融合した電脳世界で、何処かで見たことがあるような——しかし誰も見たことがない光景が広がっている。
そして、この世界は大きく分けて七つのエリアで構成されている島であり、都市の集合体でもある。
今回は、その中の一つ〝塵街魔境(じんがいまきょう)オブシディアンデザート〟について紹介しよう。
ここは、ラクーナに存在するエリアの中で、ある意味もっとも異質な雰囲気を漂わせる場所だ。エリア外周部にはピラミッドなどの古めかしい遺跡群が点在する白んだ砂漠が広がっている一方で、エリアの中央部には鉄色に黒光りする巨大な工業都市が建立されている。
「砂漠の中心に存在する発展した工業都市」という、一見すると矛盾した光景が広がっているのがオブシディアンデザート最大の特徴である。
外周エリアとなる砂漠地帯は、まばらに遺跡が点在し、一部の遺跡には他のエリアへと繋がる隠し通路が存在している。この隠し通路を利用することでしか辿り着けない場所も存在するようなので、他のエリアの探索に行き詰まってしまったときは、この遺跡群を調べてみるのも良いかもしれない。
中心地である工業都市では、オートメーション化された工場が稼働しており、NPCのパーツ生産やメンテナンスが絶え間なく行われている。また、中にはどこかで見たことがあるような、サイボーグ型・マシーン型デジモンのパーツと思わしき「部品」を生産している施設もあり、多くの謎と一抹の不気味さを感じさせるエリアとなっている。
一方で、そういった退廃的な風景を好む、コアな趣味を持つプレイヤーには人気であり、一部熱狂的なファンが通い詰めている、という噂もある。
荒涼として寂しげな雰囲気が漂うこのエリアでは、ラクーナに存在する他のエリアと比べてもNPCの姿を見かける機会が少なく、現時点では配置されたバトル用NPCもごく僅かだ。この都市に配置された少数のバトル用NPCは非常に高いランク設定がされており、純粋にプレイヤーの腕前を試すような、強力なNPCがほとんどとなっている。
残念ながら初心者の腕前では太刀打ちするのも難しい、上級者向け・高難易度のバトルとなっているため、入念にデッキ構築をし、腕前を磨いた上で挑戦するのがおすすめだ。
さて、そんな謎が多く、雰囲気的には近寄り難さすら感じるエリアだが、訪れて探索するメリットが無いというわけではない。
大きく分けて、現在オブシディアンデザートを訪れるメリットは二つ存在する。
一つは、都市のどこかに存在するといわれる、隠しショップの存在だ。
隠しショップを担当する〝ジャンク屋スカベンジャー〟と呼ばれるNPCは、紙袋で顔を隠し、雑多に物資を詰めたカゴを背負って歩く異様な雰囲気のNPCだ。
その不気味な姿からは想像もつかないが、このNPCは意外と気さくに対応してくれ、他のショップやクエストでも中々お目にかかることのできないレアなアビリティアイテムなどを販売している。
しかし気さくな態度とは裏腹に、取引に要求されるBitは法外で、場合によってはBit以外の対価を求めてくることもあるため、非常にシビアな商売人でもある。
また、スカベンジャーは特定の場所に店を構えているわけではなく、その時々によって移動を繰り返し、場所を変えて商売を営んでいる。加えて、本来であればD-STORAGEに搭載されたマップ機能を利用すれば、ショップNPCの存在は表示されるようになっているが、このスカベンジャーは一切表示されることがない。
マップには表示されず、一箇所にとどまることがないスカベンジャー。彼を見つけ出すには、狭く入り組んだ路地を歩き回りひたすら探索する必要があるため、出会うこと自体が困難なNPCとなっている。
当然、次の日にはまた別の場所に移動しているため、繰り返し取引を行うには多大な労力が伴う。しかし、もし信頼関係を築くことができれば「お得意様」として特別なサービスをしてくれるかもしれない。
そんな噂がまことしやかに囁かれているのも、このエリアを訪れるプレイヤーが絶えない理由の一つだろう。
そしてもう一つは、広い都市全体に用意された複数のサブクエストの存在だ。
今回の記事では、その一例として、代表的なものとなる大型サブクエスト「黒曜の真実」について少し紹介していこう。
キミは、複雑に入り組んだ工業都市の路地裏で、全身をボロ切れで覆った謎のNPC「パーラ」と出会う。何かに怯えている様子のパーラは、突如として工業都市に現れた人間であるキミにも警戒心を剥き出しにし、逃げ出してしまう。
その様子に疑問を持ったキミはパーラを追跡することを決めた。
そしてパーラを追う過程で、キミは少しずつオブシディアンデザートの中枢に近づいていくことになる。そう、まるでパーラはこの街を案内しているかのようだった。
オブシディアンデザートの工場に残された記録を読み解いていくと、かつてこの地は緑に溢れた肥沃の大地であり、多くの生命が生まれる特別な街だったことが分かるだろう。
では、なぜ今はその真逆ともいえる砂漠と工業が支配する生命なき都市へと変貌してしまったのか?
その謎を解くには、どうやらこの街で得られる情報だけでは足りないようだ……。
「パーラ」を追跡し、追いついては逃げられと繰り返す内に、通常では進入することができない工業都市の中枢部分などが解放されていく、という内容だ。
このサブクエストでは、「パーラ」と初めて邂逅しイベントが開始されると、一時的にD-STORAGEのマップ機能が使用できなくなり、プレイヤー本人の感覚だけでNPCを追跡することになる。オブシディアンデザート工業都市の複雑に入り組んだ路地をマップ無しで探索するには、エリア自体に対する土地勘が非常に重要になってくるだろう。
オブシディアンデザートでは、こういったサブクエストが複数用意されており、それらを攻略していくうちに、キミはデジモンリベレイターのメインシナリオに関わる、いくつかの重要な情報や背景を知ることができる。
ただメインシナリオを進めているだけでは知ることのできない情報や背景を知ることで、世界や物語の見え方が変わってくることもあるだろう。あえてメインシナリオではなく、デジモンリベレイターの世界観や設定を知るためのサブシナリオが多く用意されているのも、オブシディアンデザートの特徴と言える。
オブシディアンデザートという場所は、退廃的で冷たさを感じるエリアの雰囲気も相まって、デジモンリベレイターを始めたばかりのプレイヤーにとっては、少々近寄りがたい都市ではある。複雑なマップ構成や、数々の隠し要素など、決して初心者向けとは言えないエリアであり、ラクーナでの冒険に慣れてきた熟練者のためのエリアとなっている。
しかし、そこにはデジモンリベレイター、そしてその舞台となるラクーナと切っては切り離せない、数々の秘密や出会いが散りばめられているのだ。
ラクーナでの冒険に慣れてきたプレイヤーは、決して臆することなく、もう一歩を踏み出し、困難な冒険へと繰り出してみてはいかがだろうか。