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TIPS 20
バトルカバレージ⑤ VS黒の皇帝竜

今回はデバッグチームの名物プレイヤー、ヴァイオレット・インブーツが操る「ゴースト型リアニメイト」デッキと、暴走NPC道化のサムが繰り出す「黒の皇帝竜」の戦いを解説していこう。

ヴァイオレット・インブーツことヴィオラが操るデッキは、ゴースト型リアニメイト。
デジモンリベレイターで新たに発見されたネクロモンを軸にした【消滅時】効果をトリガーに、トラッシュからの登場と相手の除去を繰り返す。紫らしい特徴を持った強力なデッキだ。
何度もトラッシュからデジモンが戻ってくる様子は、冥界から絶え間なく湧き上がってくる死霊そのもの。
デジモンの除去の手段を消滅に依存するタイプのデッキであれば、苦戦は免れないだろう。

ヴァイオレット使用デッキ

対するは暴走NPC、道化のサム。一時期、意図不明な長話によりプレイヤー達の注目の的になった、知る人ぞ知るおしゃべりNPCだ。
最初はその姿をインペリアルドラモンの群れの中に隠蔽していたが、ヴィオラとの対戦の途中、ワームモンと共にその姿を現すことになる。
サムの操るデッキは黒き皇帝竜こと、インペリアルドラモンウィルス種のデッキだ。
赤紫2色のデッキで、効果による登場とジョグレスを連鎖させることでインペリアルドラモンファイターモードまで一気に駆け上がり、対戦相手の盤面とセキュリティに大打撃を与えることができる。
インペリアルドラモンファイターモードまで進化できれば強力なデッキだが、そこに至るまでにトラッシュと手札に要求されるカードの枚数が多いこと、進化途中では相手の盤面に干渉できるカードが少ないこともあって、プレイヤーの間では玄人向けのデッキとして知られている。

NPC使用デッキ

紫のデッキらしく、お互いにトラッシュと効果登場、消滅除去を使うデッキ同士の対戦。その様子を振り返っていこう。

下が有紗がバトルフィールドに到着したときの、ヴィオラと道化のサムの盤面だ。

ヴィオラの盤面
道化のサムの盤面

有紗が目撃したのはヴィオラのターン開始時。メモリーが6の状態だ。
サムの場のファイターモードとヴィオラのメモリーを見る限り、サムがジョグレス進化を連鎖して一気にインペリアルドラモンファイターモードまで駆け上がりアタックを終えた返しのターンだということは想像がつく。
ヴィオラからすると、このターンになんとかしてあの黒い皇帝竜を除去したいところだろう。だが、ファイターモードは【消滅時】にトラッシュからブイモンとワームモンを登場させる効果を持っている。
そのためヴィオラからすれば、ファイターモードの消滅だけではなく、そこから出てきたレベル3の消滅まで達成できれば、まさに“すべりぐ”といったところだろうか。

ヴィオラの育成フェイズ。育成エリアからゴースモンがバトルエリアに移動。
そして【メインフェイズ開始時】バトルエリアにあるテイマーカードの効果でヴィオラのメモリーが7になる。
ここでヴィオラのメモリーが一気に動く。ゴースモンからメモリーを合計5支払い、ソウルモン、ファントモンと一気に進化。レベル6に対抗するならやはりレベル6だ。そのまま躊躇うことなくメモリーを4支払い、ファントモンを進化させる。

赤い外套の下から現れたのは、黄金の髑髏と王冠を模した仮面を付けた蒼く巨大な魂の炎。異形の四つ腕に魂を吸収するグレイブレイド、魂を操るカンテラ、死者を操る冒涜的な書物を携えた、骸の王。
紫のお転婆姫が操る最強の相棒――ネクロモンが、此度の騒動の原因である皇帝竜に死を運んできた。

ネクロモン

まず手始めにネクロモンの【進化時】効果により、皇帝竜が消滅。ファイターモードの【消滅時】効果でトラッシュからブイモンとワームモンが登場。お互いの【登場時】効果が解決される。
そして【ターン終了時】。ヴィオラはネクロモンが持つ≪エグゼキュート≫の発動を高らかに宣言する。

≪エグゼキュート≫
有紗のサンドリモンが持つ≪オーバークロック≫のように、ターン終了時にアタックが可能な効果。だが、≪エグゼキュート≫が消滅させるのはトークンではなく、自分自身だ。

ネクロモン

ネクロモンによるセキュリティ2枚チェック。結果はワームモンとシェイドラモン。
アタックが無事通ったため、≪エグゼキュート≫の効果により、ネクロモンが自壊する。そしてこれにより、ネクロモンが持っていた複数の【消滅時】効果の解決に移る。
ここから効果解決が一気に連鎖する。カバレージ読者諸君においては、この嵐のような効果処理を捌くヴァイオレット・インブーツの雄姿を、是非見逃さないようにしていただきたい。

まずゴースモンの進化元効果によりメモリーが+1。続けてソウルモンの進化元効果でサムの場のブイモンが消滅する。
次に解決するのはネクロモン自身の【消滅時】効果だ。これによりトラッシュに落ちていたファントモンが復活する。
その後、ファントモンの進化元効果の解決により、トラッシュから【消滅時】を解決したあとのソウルモンが登場した。

ソウルモンの【登場時】効果で既に着地しているファントモンに≪道連れ≫を付与。最後にプチメラモンの進化元効果で、たった今トラッシュに落ちたネクロモンをヴィオラの手札に回収。
そして場のゴースト型デジモンが消滅したことにより、テイマーカードの【自分のターン】効果で、ファントモンが再びネクロモンに進化。ネクロモンの【進化時】効果でワームモンが消滅。
これでようやく、ネクロモンの消滅から始まった一連の効果解決が終了した。

プチメラモンの進化元の解決順を間違えると、トラッシュにカードが存在しないことにより、進化元の【消滅時】効果が使えなくなってしまう。【消滅時】の解決が重なることがあるデッキを扱う方は注意していただきたい。

≪エグゼキュート≫による死の嵐が終わってみると、盤面にはヴィオラのしもべであるネクロモンとソウルモン以外のデジモンはすべて灰塵と化していた。
その凄まじさたるや、さながら百鬼夜行、あるいはワイルドハント。これこそが魂を操る骸の王が率いるゴースト型リアニメイトの真骨頂だ。
そしてそんな彼らを統率し捌ききったのは、過激で可憐な強者、ヴァイオレット・インブーツだ。

ヴィオラ

こうして残ったサムのセキュリティは3枚。ネクロモンが≪Sアタック+1≫を持っていること、ハイブリッド体でテイマーを進化させる可能性も一応考慮すると、道化のサムは次のターンにどうにかしてヴィオラの盤面のデジモンを退かさなければ、敗北の可能性がある。ターンが終了してみると、盤面の有利不利が一気にひっくり返る形となった。

ヴィオラのターン終了時

そこからメモリー2で渡ったサムのターン。【自分のターン開始時】場のテイマーカードの効果でメモリー3からのスタートだ。
普通のデッキであれば、ここからの逆転はかなり難しい。だが、このデッキは赤紫のインペリアルドラモン。ゴースト型リアニメイト同様、トラッシュからの蘇生と連続進化はお手の物だ。
幸い、先の死の嵐でサムのトラッシュはたんまりと肥えている。

【自分のメインフェイズ開始時】にテイマーカードの進化元に潜んでいたワームモンがテイマーの殻から抜け出し、バトルエリアに登場する。
メモリーを2支払い、ワームモンをシェイドラモンに進化。シェイドラモンの【進化時】効果でトラッシュからブイモンを登場させると、そのブイモンをフレイドラモンにメモリー2を支払い進化。フレイドラモンの【進化時】効果により、場のシェイドラモンとフレイドラモンがジョグレス進化した。
――昆虫と竜の融合体。凶暴たる変異種、ディノビーモンが君臨する。このデッキの要となるデジモンだ。

ディノビーモンの【進化時】効果でトラッシュから属性:フリーを持つパイルドラモンが蘇生。そのまま≪速攻≫を持ったパイルドラモンがヴィオラのセキュリティへ襲い掛かる。
セキュリティから飛び出したのはLv.4のバケモン。パイルドラモンは消滅しない。
その後【ターン終了時】に進化元効果により、ディノビーモンとパイルドラモンでジョグレス進化して、ドラゴンモードの効果による≪進撃≫でもう1点……までいけるのが、このデッキのベストな動きだが、何故かサムはジョグレス進化させずにヴィオラにターンを渡す。

NPCのターン終了時

ヴィオラのターン。【ターン開始時】と【メインフェイズ開始時】にそれぞれのテイマーカードの効果でメモリーは4に。
ヴィオラの手札には、ゴースト型を蘇生、速攻を持たせるオプションカード、アパリションレギオンが握られている。

アパリションレギオン

ネクロモンとソウルモンで相手のセキュリティを0にした後に、このオプションカードを使うことで、トラッシュからネクロモンを蘇生、≪エグゼキュート≫の効果でそのまま勝利することができる。
万が一、セキュリティ効果によりデジモンが消滅したとしても、アクティブ状態のデジモンへアタックできる≪エグゼキュート≫ならディノビーモンの≪パーティション≫を無視して、サムの場のデジモンたちを再び灰塵に帰すことができる。
どちらも悪い選択肢ではない。ヴィオラはそう判断し、骸の王を動かした。道化のサムのセキュリティにアタック。

セキュリティからはブイモンと……デスクロウ!
デスクロウの【セキュリティ】効果によりヴィオラのソウルモンが消滅する。これでこのターン、ヴィオラの勝利は不可能となった。だが、それなら盤面をすべて取り切るプランに変更すればよいだけだ。彼女の勝利はなんら揺るがない。

メモリーを8支払い、アパリションレギオンを使用。
道化のサムのトラッシュのインペリアルドラモン:ファイターモードとワームモンをデッキ下に戻すことで、ヴィオラのトラッシュからネクロモンとキャンドモンが≪速攻≫と≪ブロッカー≫を与えられた状態で蘇生される。
そしてネクロモンの【登場時】効果2つがそれぞれ発揮。パイルドラモンが消滅し、ヴィオラのトラッシュからはファントモンが登場する。
その後、予定通りの≪エグゼキュート≫。ネクロモンの魂を切り裂く刃がディノビーモンへと振り下ろされる。これでヴィオラの勝利はほぼ確実となるはずだった。

だがここで、あり得ないことが起こった。

まず前提として、ヴィオラは相手プレイヤーのデッキとレベルに合わせてプレイ内容を切り替えることのできる非常に優秀なプレイヤーだ。

ヴィオラ

今回のバトルも相手が暴走NPCであること、デッキは先ほどまで何度も蹴散らしてきたものと同様と判断したうえで、より勝利の確率が高くなるようなプレイを心掛けていた。

≪ブラスト進化≫の可能性だって考えていなかったわけではない。その可能性も考慮したうえで「あのデッキには、この状況を逆転できるほどのACEはない」と判断したからこその行動だった。
実際、彼女の読みは完璧だった。ネクロモンのアタック時まで、道化のサムのデッキには、ヴィオラのプランを防ぐことの出来るACEのカードは存在しなかったのだから。

だが、サムのカウンタータイミング。ここでカードゲームでは本来起こりえない現象、サムのカードの「書き換え」が行われた。

サムのカードの「書き換え」

インペリアルドラモン:ドラゴンモードが、誰も知らないインペリアルドラモン:ドラゴンモードACEへ。

インペリアルドラモン:ドラゴンモードACE

インペリアルドラモン:ファイターモードも、また誰も見たことのないインペリアルドラモン:ファイターモードへ。

インペリアルドラモン:ファイターモード

しかしリベレイターのシステムは、一連のアクションを何故かゲームの異常として検知せずにゲームの進行を許してしまう。ヴィオラが混乱するなか、道化のサムが動いた。
≪ブラストジョグレス≫。このジョグレス進化により、アタックの対象となるデジモンがいなくなったため、ネクロモンの攻撃は空を切ることになってしまった。

そして≪ブラストジョグレス≫による処理の解決が行われる。インペリアルドラモンの【進化時】効果で≪ブロッカー≫を持っているキャンドモンが消滅。その後、先ほど書き換わったばかりのインペリアルドラモン:ファイターモードへと進化する。
そのタイミングで、ヴィオラは自身のテイマーカードの効果を発動。場に出たばかりのファントモンをゴクモンへ進化させる。
まだ皇帝竜の侵攻は止まらない。ファイターモードの【進化時】効果でヴィオラのセキュリティが1枚破棄される。そしてセキュリティが破棄されたことでファイターモードの【お互いのターン】効果により、ファイターモードのDP以下のゴクモンが消滅する。

ここで本来はゴクモンの進化元にあるファントモンが持つ【消滅時】効果でトラッシュからデジモンが登場する……はずだが、ファイターモードが【進化時】に発揮していた「相手はデジモンとテイマーを効果で登場できない。」がその効果を妨害する。この時点でヴィオラの逆転の芽が潰されたこととなる。

インペリアルドラモン:ファイターモード

そして、先に攻撃を空ぶったネクロモンが≪エグゼキュート≫により消滅。こちらの【消滅時】効果によるデジモン登場も当然、妨害されている。

1ターン前までヴィオラ有利だった形勢が、本来存在しなかった皇帝竜の≪ブラストジョグレス≫によって、再び逆転する形となった。
互いの場に残っているデジモンは、道化のサムが操る≪突進≫≪貫通≫≪Sアタック+1≫≪パーティション(紫Lv.4&赤Lv.4)≫を持ったファイターモードのみ。
そしてヴィオラのセキュリティは残り0枚のまま、サムへターンが返る。これでゲームエンドだ。

結果はヴィオラの敗北。だが、彼女の名誉のために書き記すが、彼女の判断に誤りはなかった。また彼女のカード知識が他のプレイヤーと比べて劣っていたわけでも決してない。誰も知らないカードという冗談のような存在は、どんなプレイヤーであろうとケアすることは不可能なのだから。

結果はヴィオラの敗北

そしてユニークエンブレムにより乱入する照人によって、VS黒い皇帝竜は次の段階へと進むこととなる。次のバトルはすぐそこだ。楽しみに待つとしよう。

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