DIGIMON LIBERATOR

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DEBUG.12

 足首ほどの高さまで伸びた草が敷き詰められた平原がある。見上げれば青い空をキャンパスに、入道雲が夏のコントラストを描いていた。クロスコネクティアに季節があるのかは知らないが、少なくともユウキにとってこの空気は夏そのものだ。

 絶景ではあるものの、眼前に広がる風景はログイン前に感じていた現実世界の気温の高さを想起させるのか、足取りは重い。

 この世界に到着した直後は、喜び勇んでインプモンの制止も聞かずに駆けだした彼女ではあったが、いまでは巡り巡って初期スポーン地点にまで戻っていた。

 そしていま、ユウキの足下には自分をのぞいて3つの影が伸びている。

 言うまでもなく1つは相棒のもので、残り2つはここで出会った1人の人間と、1体のデジモンのものだった。

 腰まで届く長さの金髪を三つ編み。バイカーヘルメットにゴーグル。スレンダーな肉体をライダースジャケットで身を包んだ女性は、土で作られたハニワのような姿のデジモンと共に、ユウキとインプモンの前に現れたのは、つい数分前の出来事だ。

 ユウキの「どうしてここに現れたのか。まるで名前みたいに未来が分かっているみたいだ」と純粋な疑問をぶつけると、その女性は楽しそうにケラケラと笑って肩を竦めて見せる。

「――未来が視える、っていうのは少し大げさでしょおよ。ただ勘が良いだけっていうか。ここに来れば誰かに会える気がしたっていう、それだけのことなんだけども」

 ユウキの前でパートナーデジモン――たしかハニモンと呼んでいた――の頭を撫でるその人物は、事もなげに言った。

 ユウキとインプモンはその解答に首をひねって、思わずその女性と同じように揃って肩を竦める。

「そうは言いますけどね、おねいさん」

「無茶苦茶だろ。ユウキの迷子を事前に知ってたとしかおもえねーよ」

 そう、ユウキは迷子のまっただ中だ。

 デジモンリベレイターからクロスコネクティアに転送されて。

 新しい冒険の第一歩だ! と意気込んだのも束の間、スポーン地点で合流予定だった面子は誰一人としてその場にいない。

 呆然と立ち尽くしたあと、浮遊していたメッセージアイテムに気がついたと思えば、この女性が背後にいつの間にか立っていた……というのが経緯だ。

 そこで、女性は「ミライ」と名乗ったところで、先述のやりとりへと至る。

「おやおや。アタシの勘を信じられない? だってさハニモン」

「ゆーてその勘の鋭さには時々ウソだろって思うこと、わらわにもあるし。初対面ならこんなもんだろうて」

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 ハニモンの口調が、見た目に反して少々威圧的なことに驚く。ミライはこちらの反応を知ってか知らずか、言葉を差し挟むタイミングを見失ったユウキに向き直って首をかしげた。

「えーそうなの? ね、やっぱ信じて貰えない?」

 信じられないもナニも……と口を突いて出かけた言葉を、ユウキは飲み込む。

 この広大なクロスコネクティアの大地で自分たちが出会えたことを、彼女いわく「ただの勘」で片付けるには、あまりにも超常的だった。だが、それを伝えたところでこの女性は笑って受け流すだろう。

 それに、よしんば本当に勘だったとしても、クロスコネクティアに到着したあと、どこに行けば良いか分からず途方に暮れていたユウキたちが、彼女との出会いに助けられたのは間違いない。ヤオからも事前に聞いていた名前だったことからも、彼女は信用に足る人物だ。

 ならば感謝こそすれ、疑問を口にするのは失礼だと思えた。

「それじゃあ、出会いの喜びを分かち合ったところでさ。まずはこのメッセージアイテム、一緒に確認してみるってのは……どお?」

 あれこれ考えても仕方がない。ここはいつも通りの自分を取り戻して、自分を助けてくれたミライ――城之崎きのさき観来みらいの提案に全力で乗っかった。

「り! そうしましょーっ!」

「“了解”な。あの、コイツまともな日本語ほとんど使えねーんだけど、大丈夫か」

「おっけえ把握! ま、アタシにかかれば若い子の言葉遣いなんざすぐにマスターするでしょおよ。妹が増えたと思えばラクショーラクショー」

 そう答えた観来の足下で、ハニモンが笑ったように見えた。

DIGIMON LIBERATOR SIDE STORY
DEBUG.12 城之崎観来

「はー。なるほど。ここで合流予定のオトモダチは襲撃に遭って散り散りになったってことね」

 観来がユウキと共にスポーン地点に設置されたテキストアイテムの中身を確認すると、そこには手短に状況を説明する文章が残されていた。

『デバッグチームはミスティモン率いるデジモンの集団に襲われた。アルテアはミスティモンにより鹵獲。輝月、ウィリアムズ、サイキヨ三名はそれぞれ別の方向に逃げる。再集合はクールボーイのいる場所で。また会いましょう』

 ……ああ、あのミスティモンか。

 メッセージを読んだ観来は、その名前を見た瞬間に思ったよりもクロスコネクティアを巡る事情が、自分が知っていたそれよりも面倒になっていることを悟る。あのデジモンが動いたとなると、

 ……なるほどクルボさんの所在も自ずと見えてきたね。

「みんな大丈夫かな……」

「大したもんじゃねーか、土壇場でこんなメッセージ遺すような奴らだぜ。機転利かせてうまくやってるだろ」

「それならいいんだけどさぁ……」

 ユウキとインプモンは落ち着きなく、二人で並んで歩き回りながらあーでもないこーでもないと話し合っている。姉弟のような振る舞いに、観来の口元から思わず笑みがこぼれた。

「落ち着きなよ、ユウキちゃん」

「おねいさんたちが落ち着きすぎなのでは……!?」

「小悪魔の。汝もわらわのようにドシッとかまえんか」

「ハニワに“ドシッと”とか言われるの、なんとなくイヤだな……」

 人間とデジモン、それぞれのやりとりがまた面白可笑しくて、今度は耐えきれずに「ぷっ」と思わず噴き出してしまう。

「あははは! 良いねキミたち、おもろだよ! そんな心配しなくてもインプモンクンの言うとおり大丈夫じゃないかなー」

 きょとんとこちらを見つめるユウキとインプモンに、観来は続けた。

「輝月さんって輝月涼音さんのことだよね。ユウキちゃんたちもチーム組むぐらいだから知ってるだろおけど、あの人めちゃめちゃ頼れるからマジで心配ないでしょ。このメッセージ残したのもあの人のアイディアっぽいし」

「いやいや、それはさすがの私にも分かってますって! 涼音さんどころかみんなえぐ頼れる仲間たちですから!」

「え、じゃあなにが心配なの」

 聞けば、ユウキはわなわなと全身を震わせて自らの肩を抱き寄せる。

 そしてメッセージのある一点を見つめて、言った。

「だって、合流地点……クールボーイさんがいる場所isどこ……!!」

「あー」

「っていうか、それを探りに来たんだよな俺たち……ダメ元で聞くけど、そっちはなんか知ってるか?」

「知ってるもなにも。答え書いてあるみたいなもんでしょおよ。たぶんミスティモンのところじゃない?」

 間違いない、と断言して良いだろう。

 あの面倒なミスティモンのことだ、人間をみかけたら片っ端から攫って行くはずだ。

 仮に攫われていなくとも、あのクールボーイなら問題解決のために自らミスティモンの近くに向かうことは想像に難くない。

 しかしながら目の前の二人はそうでもなかったようで。

「「なんですってーッ!?」」

 意表を突かれたユウキたちの声が、クロスコネクティアの大地に木霊する。

 山が少ないフィールドだからか、やまびこが音を返してくることはなかった。

「っていうかそうか、ミスティモンのところかあ。そこ探せば良かったのねアタシ」

「え、え、え、ちょ、まだ理解が。っていうかそうだ、おねいさんってどうして先行してクロスコネクティアに来てたんですか」

「いやははは。お恥ずかしい話なんだけどさあ、ユウキちゃんたちと同じくヤオちゃんに頼まれてクルボさんの捜索を頼まれてたのよね」

 クールボーイの捜索自体は大分前から計画が進められていた。

 とある事情でデバッグチームとしては手が空きがちな観来の元に依頼が飛び込んできたのは、時系列で言えば姚青嵐とオメカモンが、クロスコネクティアに彼のデータがあることを突き止めた直後のことである。

「見当もつかなかったから、後進の人たちのためにマッピングだけしてたけど」

「マッピング……?」

「うん。クロスコネクティアの地形データ、全部記録してたの」

「は」

 場の空気が再び凍り付いた。なんだか悪いことをしている気分だが、同時に「してやったり」な高揚感もふと沸いてきたのはいたずら心が過ぎるだろうか。

 ……アタシまたなんかやっちゃいました? ……的な。

 もともと、姚青嵐も自分一人にクールボーイ本人の捜索が成し遂げられるとは思っていなかったはずだ。だからこそ、あとから何人か追加人員――これはユウキたちのことだ――がこの世界に訪れることを説明してくれたし、その人たちのためにマップデータの制作を依頼したのだろう。

「全部……って、全部?」

「そう、全部」

 なんならいま見せようか。

 そう呟きながら、観来は手元のD-STORAGEを操作して立体映像を映し出す。

 6人掛けが出来そうな、大きめのダイニングテーブルほどの大きさのマップデータが目の前に展開された。

「や、さすがのユウキちゃんも驚き桃の木さんしょの木、ドン引き祭りでどっこいしょ、えーとあのその」

「わからんわからんわからん、ユウキ落ち着け。マップデータがあるって、それだけで良いだろ。マジでスゲーなコレ」

「ぷっしゅう」

「いやいや二人とも、そんな驚くことじゃないでしょおよ。時間かければ誰だって出来るよ、こんなこと」

 なにせ自分たちの住む世界よりも時の流れが速いクロスコネクティアのことだ。マップ制作にかける時間だけはたっぷりあった。

 その道中で現地のデジモンたちと交流を持ったことで、ミスティモンが面倒なデジモンだとかそういった細かい情報を拾えたのも大きい。ユウキたちが来て、メッセージを残してくれたおかげで、作ったマップデータが役に立つというものだ。

「他の人たちがどこに逃げたかは分からないけど、ひとまずミスティモンがいるのはこのあたり……かな?」

 一点、クロスコネクティアの中央から、少し東に寄ったあたりに目立つ建造物がある。

 守護者であるダルフォモンの根城とされている砦だ。

 排他的な施設で外からの来客を拒む要塞――ゆえに、さすがに内部まではマッピング出来ていないものの、遠くから観察して形状をつぶさに記録するのは問題がなかった。

「ここにクールボーイさんがいるんだ……あと捕まっちゃったアルテアも多分ここにいる……んだよね?」

「たぶん」

「すごい! がち偉業すぎてリスペクト止まんないんですケド!」

「だから時間をかければ誰にでも出来るって」

 観来の言葉を捕捉するように、傍らのハニモンも言葉を続ける。

「旅から旅へ、東へ西へ。旅慣れたミライの余裕と、高い機動力を誇るわらわにとってこの程度、朝飯前よ」

「機動力……ハニモンが?」

「ほほほ。キビキビ動くぞ、わらわは」

「すごーい! すごーい! よねインプモン!?」

「ああ。旅人って何のことかと思ったけど……こりゃホントにスゲーよ」

 ハニモンが自慢げに話してくれるのはありがたいし、二人の反応もくすぐったくなるぐらいには嬉しいが、旅人というのはあまり褒められたモノじゃない。

 要は根無し草。どこにも自分の居場所を見つけられていないだけだ。

 そこで、観来はふと物思いにふける。

 城之崎観来は旅人である、と。彼女が自分自身でそう定義して何年経っただろうか。

 ……高校中退してからだから、ええと……ざっくり7年くらい? わお。

 頭の中で自問自答して、思ったよりも長い期間ろくに実家に顔を出していないことに気がついた。妹の有紗や両親とは時折チャットツールでメッセージのやりとりをするが、顔はすっかり見ていない。

 いや、正確には実物を見ていないだけで、親から写真が送られてくるから成長記録としての家族たちの顔は知っている。父も母も柔和な顔立ちのままで、妹は利発そうな女性に育ったなぁとつい最近感動したばかりであった。

 ……元気にしてるかなぁ、りーちゃん。

 観来がりーちゃんと呼ぶのは、他でもない妹である城之崎有紗のことである。医者の家系という重圧に耐えきれず、彼女を置いて旅に出てしまったことはいまだに申し訳なく思っている。

 開業医である両親にはなに不自由ない暮らしをさせてもらえていたし、観来と有紗には「医者になる必要はない」と将来の自由を保障さえしてくれていた。だからこそ高校を辞めて働きながら旅に出る、と言った自分を笑って応援してくれたのだが、有紗はどうやら違うらしい。

 彼女はいま、両親と同じ道を辿って医者になるべく頑張っている。それもまた自由だ。「みんなを安心させたいから」という理由でなければ、素直に彼女の行く道を祝福できたことだろう。

 ……なんて、これもアタシのエゴなんだろうけど。

 結局、自分も妹も「城之崎さんちの子供だから」という周りの目が気になって仕方ないのだ。有紗はストレートに期待に応えようとしている分、逃げるように旅に出た観来よりも優秀だ。だからこそ、自由を謳歌しているハズの観来の胸には、しこりのように罪悪感が残り続けている。

 ただ、妹はそう思っていない。家を出て行った自分を恨むことはないし、なんなら両親と共に明るく応援してくれている。

 自由でいて良いんだよ、と彼女は自分を肯定してくれているのだ。

「……ああ、そっか」

 そこで、観来は心の中でひとつ腑に落ちたことを見つけた。

 ユウキと出会ってからこっち 、いやに話しやすいと思ってはいたが、根本的な振る舞いが似ているのだ――ユウキと有紗は。

 誰かに気を遣って貰おうという気もなければ、自分がやりたいことをまっすぐに見つめているそんなユウキをみて、観来は勝手に妹の姿を重ねていたのだろう。

「ねぇねぇ、ユウキちゃんいま何歳? 多分りーちゃん――アタシの妹と同い年ぐらいだと思うんだけど」

「ぴっちぴちの19歳! 春もうらやむ花のダイガクセーってヤツです!」

「あれ、勘が外れた。妹より年上だ」

 なら、幼馴染みのショーちゃん――風真照人と同い年か。

「あ、いまユウキのこと年の割にバカだなって思ったろ」

「ちょいちょいインプモンクン? 急に後ろからブッ刺してくるのえぐすぎん?」

「いやいやいや、バカだなんてそんな。ただ妹に似てるなって思っただけで」

「妹……あ、間違ってたら申し訳ないんですけど、有紗ちゃんのことです?」

「あー。うん、そうだよ」

 やっぱり知っていたか、と勝手に気まずくなる。

 ヤオから聞かされてはいたが、本当に有紗はデバッグチームに入っているらしい。ならば面識があるのも納得だ。

「やっぱり! 絡みないけど良い子なんだろうなって思ってました! 私たち、友達になれますかね!?」

 ……そっかぁ。

 妹は端から見て「良い子」に見えるか、と。そのことがたまらなく嬉しくなって、観来は目尻を下げて答えた。

「なれると思うよ。ユウキちゃんも良い子だし。もし会うことがあったら気軽に話しかけてみて」

「あのー、おねいさん?」

 ユウキが遠慮がちに観来に声をかけるものの、すでに彼女は揺るがぬ意思でD-STORAGEを構えた後だった。笑顔を浮かべる観来の表情とは裏腹に、ユウキの胸中には儚げながら不安が広がっていく。

「さて……と。そろそろ向こうに帰るタイミングか」

 ユウキの呼びかけに応えることなく観来がユニークエンブレムを起動すると、ハニモンが進化を重ねていくのが分かる。

 光に包まれたハニモンはあっという間にレベル6へと進化を果たした。

 宇宙服と白無垢の着物を融合させたような身体と、竹筒のようなロケットが備えられた特徴的な姿に思わず息をのむ。

「道案内はお願いしていいっしょ? ねぇ、カグヤモン」

 カグヤモンと呼ばれたそのデジモンは、言葉ではなく笑顔で頷くことでパートナーの要望を受け入れた。

 これが先程ハニモンが言っていた「機動力」の秘密なのだろうと、ユウキはひどく納得した。

「本当に行っちゃうんですか?」

「マップデータはキミに渡したし。そもそも後続隊と合流して、クルボさんの居場所に見当がついたらアタシはラクーナに帰る予定だったんだよね」

 アタシはこっちに長くいすぎたから、と観来は締めくくる。

 確かに、時間の流れが異なるこの世界に長期間滞在することは避けた方がいい、とヤオにも事前に説明を受けていた。

 しかしながら、ユウキは芽生えた負の感情を無視できない。

 だから、そのまま不安を口にした。

「あの、私、大丈夫……ですかね」

 マップデータを作成したほどの人物が隣にいれば、どれだけ心強いだろう。

 ここに到着した瞬間は、新たな冒険の予感に確かに高揚していたユウキだったが、初っぱなに仲間と合流できなかったことへの不安が上回っていることに、この別れを前に気がついてしまったのだ。

「キミなら大丈夫だよ、ユウキちゃん。相棒もいるでしょおよ――ね、インプモン?」

「ッハ、あんたに言われるまでもねーよ。おら、しょげずに見送ろうぜユウキ。お前らしくもねー顔しやがって」

 インプモンの言葉にハッとする。

 確かに、自分らしくない。いつも最高に可愛いユウキちゃんは、相棒と一緒ならどこだって元気にやっていけるのだ。

 気合いを入れるために、自分の頬を二つの手の平で叩いた。

「……よっし! そうだよね!」

「ったく、ようやく笑ったかよめんどくせー」

 そんな自分たちのやりとりを見て、カグヤモンに掴まりながら観来が言う。

「インプモン素直じゃないねー。ユウキちゃんは妹に似てるけど、キミはアタシにちょっと似てるかも」

「……あん? それってどういう――」

 インプモンの言葉が途中で爆音 に遮られる。

 音の正体は、カグヤモンのロケットだ。エンジンが点火したらしい。

「なんでもないよ! とにかくキミたちは大丈夫! アタシの作ったマップ、うまく使ってよねーえ!」

 ロケットの音に負けじと観来が大声を出す。

 徐々にカグヤモンたちの身体が浮き始めて、ものすごい風がユウキとインプモンを襲った。飛ばされないように踏ん張るのが精一杯――ではあったが。

「わかりましたー! おねいさん、向こうで妹ちゃんに会えると良いですねーえ!」

「えー!? なんだってー!」

「なんでもないでーーーす! おげんきでーーーーッ!! ありがとうございましたーッ!!」

 こちらも負けてられない、と。

 ユウキは大声で観来とカグヤモンに言葉を投げた。

 その声が届いたかどうかは分からないが、きっと想いは伝わったはずだと。

 勇気と元気をくれた観来たちへの感謝の気持ちを、ラクーナに持ち帰ってくれるはずだと。

「……頑張ろうね、インプモン!」

「ったりめーだ! 行くぜ、ユウキ!」

 遙か遠くの空へ飛んで、小さくなっていく彼女たちの姿を見て、ユウキは確信した。

To Be Continued.

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